IT導入補助金とは?2024の概要、手続き等を詳しく解説(前編)

目次

  1. はじめに 
  2. 導入補助金とは?
    1. 導入補助金とは 
    2. IT導入補助金2024の仕組み 
    3. IT導入補助金2024関係者別の手続きフロー 
  3. IT導入補助金2024の枠種類、補助金額・補助率 
    1. 通常枠 
    2. インボイス枠(インボイス対応類型)
    3. インボイス枠(電子取引類型) 
    4. セキュリティ対策推進枠 
    5. 複数社連携IT導入枠 
  4. 補助対象について 
  5. おわりに 




1.はじめに

 
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が業務効率化や売上アップ等、様々な経営課題を解決するため、ITツールや関連サービスを導入・利用する際、かかる費用の一部を補助する仕組みです。
中小企業者はIT導入補助金を活用することで積極的にITツールの導入が図れます。
IT導入補助金は前年度に続き2024年も実施中ですが、2023年10月にスタートしたインボイス制度に対応して、IT導入補助金2024も実施内容が大きく変更されています。
本記事では、IT導入補助金2024について、変更内容も踏まえ、その概要や手続き等を前編、後編の2回で詳しく解説します。
 

2.IT導入補助金とは?

 
本章では、まずIT導入補助金の実施状況や仕組みについて解説します。
 

2.1.IT導入補助金とは

 
IT導入補助金とは、中小企業庁の監督下で運用が図られている、中小企業・小規模事業者を対象とした補助金です。
「補正サービス等生産性向上IT導入支援事業」として、過去数年、毎年実施されており、2024年も継続実施中です。
中小企業・小規模事業者がITツール導入時に活用できる補助金としてすでに広く認知・活用されています。
なお、IT導入補助金の採択率に関しては、最近の採択状況は以下の通りです。(一部抜粋)
表1
 

2.2.IT導入補助金2024の仕組み

 
IT導入補助金2024の交付申請から申請者(中小企業等)が補助金を交付されるまでの流れが以下の通りです。
図1
上の図において最終的に補助金を受ける申請者が中小企業・小規模事業者等であり「補助事業者」と呼びます。
また申請者の補助事業をサポートして補助金を受けやすくする役割を果たす共同事業者(ITベンダー・サービス事業者)を「IT導入支援事業者」といいます。
IT導入支援事業者は、申請者が自社の生産性向上を目的としてITツールの導入を検討する際のツール情報の提供や事業計画の策定、各種申請手続き等のサポートを行います。
一方補助金に関する交付申請を受付ける本部を「事務局」と呼び、IT導入補助金事務局は中小企業庁及び中小企業基盤整備機構の監督下で運営されています。
 

2.3.IT導入補助金2024関係者別の手続きフロー

 
IT導入補助金2024の申請・交付手続きを、関係者別に整理した流れが以下の図になります。
図2
 
申請者(中小企業・小規模事業者等)とIT導入支援事業者(ITベンダー・サービス事業者)では行う申請手続きの内容が異なっています。
申請~交付期間中は相互に緊密に連絡を取り合い、事業スケジュールや流れに沿って整斉と手続きを進めるようにしましょう。
 

3.IT導入補助金2024の枠種類、補助金額・補助率

 
本章では、あらたに加えられたインボイス枠も含めて、補助事業者が利用できるIT導入補助金2024の枠種類、補助金額・補助率等を紹介します。
 

3.1.通常枠

 
IT導入補助金2024のうち、通常枠とは、自社の課題にあったITツールを導入し、業務効率化・売上アップをサポートする補助金です。
 
表2
 
通常枠においてプロセスとは、各種業務プロセスをいい、P1(顧客対応・販売支援)、P2(決裁・債権債務・資金回収管理)~P7(汎用・自動化・分析ツール)まで7種類指定されており、プロセスの数によって補助額も異なります。
補助対象もソフトウェアに加え、オプションや役務(サービス)も加えられており幅広いのが特徴です。
 
通常枠の申請締切、交付決定日等のスケジュールは以下のとおりです。
表3
 

3.2.インボイス枠(インボイス対応類型)

 
インボイス制度とは、2023年10月1日から導入された新しい消費税の仕入税額控除の方式の一つで、課税事業者が発行するインボイス(適格請求書)に記載された税額のみを仕入税額控除することができる制度のことです。
そこで新たに創設されたインボイス枠(インボイス対応類型)では、インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェア等を導入し労働生産性の向上をめざす事業者を資金面からサポートします。
 
【インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト】
表4
詳しい交付条件は以下の出典を参照下さい。
 
【PC・ハードウェア等】
表5
 

3.3.インボイス枠(電子取引類型)

 
インボイス枠(電子取引類型)とは、インボイス制度に対応した受発注システムを「商流単位」(※)」で導入する企業をサポートする補助金です。
(※) 取引関係における発注者がインボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、当該取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して無償でアカウントを供与して利用させる場合に、その導入費用の一部を支援。
 
表6
 

3.4.セキュリティ対策推進枠

 
セキュリティ対策推進枠とは、サイバー攻撃の増加に伴う潜在的なリスクに対処するため、サイバーインシデントに関する様々なリスク低減策を支援する補助金です。
具体的には、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを導入する際、サービス利用料(最大2年分)を補助します。
 
表7
 

3.5.複数社連携IT導入枠

 
複数社連携IT導入枠とは、業務上つながりのあるサプライチェーンや、特定の商圏で事業を営む商業集積地に属する複数の中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入し、生産性の向上を図る取組を支援する補助金です。
補助対象経費、補助率、補助額等、詳しくは以下の出典元をご確認下さい。
 

4.補助対象について

 
IT導入補助金2024の補助対象者である中小企業・小規模事業者等とは、日本国内で法人登記され、国内で事業を営む法人または個人であり、生産性の向上を目的として、それに資するITツールを導入しようとする先をいいます。
ただし業種分類・組織形態別に、IT導入補助金2024が受けられる先には制限があり、資本金の上限・従業員数上限の双方、もしくは従業員数の上限で補助対象先が縛られています。
IT導入補助金2024の補助対象に該当するかどうかは、詳しくは以下のサイトを参照して下さい。
 

5.おわりに

 
IT導入補助金2024について、前編では、IT導入補助金の仕組みや関係者別フロー、新しく創設されたインボイス枠含む、枠種類の説明や補助金の支給目的、補助率や補助額、補助対象者について詳しく解説しました。
続いて次回後編においては、IT補助金2024の申請から交付までの流れ、事前準備が必要な項目、2024年事業スケジュールなど、詳しく紹介します。
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