公認会計士から見た 「企業が取り組むべき従業員の新しい離職防止対策」とは?
●監査法人Growth 包括代表パートナー 公認会計士
瀧野 恭司(たきの・きょうじ)様
1998年、監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマツ)入所。
トータルサービス部門に所属し、IPO準備企業の監査及びIPO以降の上場企業の監査に特化して活動する。小規模ベンチャー企業がIPOしメガベンチャー企業に成長していく過程を監査を通じてサポートする経験等、IPOを目指すベンチャー企業に対して、多くの監査経験を有する。
2010年より2014年までデロイト中国広州事務所に駐在し、当地進出の自動車メーカーや部品サプライヤー等の多くの日系企業に対する監査・税務・管理体制構築コンサルティング等のコーディネート業務に従事。
2014年同法人のパートナーに就任以降は、再びIPO準備企業の監査に従事し、多数の企業のIPOに関与する。
2017年より2023年まで一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会監事を務める。
2023年8月、監査法人Growth 包括代表パートナー就任。
●南青山アドバイザリーグループ CEO
仙石 実(せんごく みのる)
1974年生まれ、埼玉県出身。明治大学商学部卒業。 2002年に監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)に入所。東証一部上場企業などの各種法定監査業務、株式公開支援業務、外部向け研修サービスに従事。その後、2011年にコンサルティングファームに参画し、2013年に南青山グループ(現・南青山アドバイザリーグループ)を設立・代表就任。「専門性」「誠実性」「迅速性」を経営理念とし、上場・非上場を問わず多数の取引先の会計税務支援サービスに加え、IPOやM&Aのコンサルティング業務において多数の実績を有する。
日本を代表する会計事務所を表彰する「ベストプロフェッショナルファーム」に3度選出されているほか、「士業業界に影響を与えた100人」にも選出。
■報酬制度としてのストックオプション、近年の流れについて
仙石:最近は役員にはストックオプション(以下、SO)、従業員にはエンゲージメントストックを導入している企業が増えています。
そのきっかけは去年、注目されていた信託型ストックオプション(以下、信託SO)の行使時の税制が約20%の譲渡所得課税(※1)から最高55%の給与所得課税に国税庁の指摘により見解が変わったことだと思っています。
監査法人Growth 包括代表パートナー 公認会計士 瀧野さま(以下、瀧野さま):そうですね、あの発表は驚きでした。通常のSOですと導入したタイミングに在籍していた社員にしか渡せなかったのですが、信託SOは導入後に凍結させることができたので、後で入社した従業員にも導入時の安い株価で渡すことができました。
しかし、あの発表で行使時の税率が人によっては55%もかかることになってしまいました。SOを行使して株式を受け取った段階で、株式の売却前にもかかわらず多額の税金がかかってしまうことは社員にとっても負担が大きいですよね。
仙石:この影響でみなさん社員のインセンティブ制度について一度、振り出しに戻った感じがありましたね。信託SOは画期的ですが、税制面の課題が顕在化してしまいました。代わりに国も税制適格型ストックオプションの改正を行い、税務上の財産評価基本通達に則した算定方法による低い株価を行使価額の下限として認めるセーフハーバールールが適用可能になっています。ただ、会計と税務の株価が両立するなど理解が難しいというデメリットがありますよね。
瀧野さま:そうなんです。信託SOに関しては、人材獲得や育成のために導入している上場企業も多かったので、そういったところが一旦ストップしてしまいました。
仙石:企業の役員や幹部にとって、SOはとても良い制度だと思います。市場株価にコミットして株主責任を果たさなければいけないですからね。ただ、従業員に対しては効果が少ない、と感じている経営者が多いのも事実です。
(※1)譲渡所得課税とは・・・
一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得のこと。
■公認会計士から見た擬似ストックオプション
最大の良さは「IPOを目指している企業の社員の頑張りが確実に反映される」
●従業員に効果的な擬似ストックオプション(エンゲージメントストック)
仙石:先ほどは従来のSOについてご意見をいただきましたが、瀧野さんは擬似ストックオプション(以下、擬似SO)について、どうお考えでしょうか?
瀧野さま:そうですね。従来のSOと違っている点は、第一に、仮想株式なのでリアルな株式の希薄化が避けられる点ですね、第二に、市場株価だけではなく、営業利益などのKPIを仮想株価として利用できるので、市場株価と切り離して考えられている、というところですよね。市場株価は予測不能なので、自分の努力でどこまで変えられるか分かりません。
しかし、擬似SOは、企業の利益に貢献することで分かりやすく報酬が上がる、ということが言えると思います。
仙石:ありがとうございます。おっしゃる通りだと私も考えております。
また、最近では上記のように利益に連動する疑似SOだけではなく、「仮想株式1個=1万円」など予め仮想株価を固定した仮想株式を、ポイントのように会社への功績等に応じて付与し、そのポイントと交換に現金を貰う条件を「企業への3年間の在籍」などにする「固定型プラン」の導入も増えてきています。
その企業を辞めてしまうとポイントも失効してしまうので、「静かな退職」などの離職防止にも繋がると考えています。
瀧野さま:私もIPOを目指しているスタートアップ企業を支援していますが、離職率が高いです。
従来のSOはIPOが見えてこないと従業員のモチベーションアップに期待ができないのですが、擬似SOの場合はその都度の目標達成で報酬を貰えますよね。
なので継続的なモチベーションアップに期待ができますよね。
仙石:ありがとうございます。SaaSツールである「ストックオプションクラウド」により、仮想株式の個数や報酬金額、行使条件について、従業員はいつでもスマホやPCから確認できるようになっています。その点もモチベーションアップに繋がると思っています。また、「ストックオプションクラウド」は疑似SOだけではなく従来のSOも管理が可能になっています。
最後に、擬似SOについて今後に期待できることをお教えいただけますか?
瀧野さま:はい。擬似SOのような報酬制度をうまく活用することで、IPO、並びに経済の活性化に繋がると考えております。
近年、IPOの基準が企業の売上重視から利益重視へと変わり、足元がしっかりしている企業のほうが上場しやすい傾向にあります。
そういった流れにも、擬似SOは合っていると思います。
仙石:ありがとうございます。今回は貴重なご意見を聞くことができました。
また経営者側の視点ですと、制度を導入することにより、より優秀な人材が集まってくる、というメリットも考えられますよね。
この対談を契機に、より多くの方々に知っていただけると幸いです。この度はありがとうございました。
仙石:先ほどは従来のSOについてご意見をいただきましたが、瀧野さんは擬似ストックオプション(以下、擬似SO)について、どうお考えでしょうか?
瀧野さま:そうですね。従来のSOと違っている点は、第一に、仮想株式なのでリアルな株式の希薄化が避けられる点ですね、第二に、市場株価だけではなく、営業利益などのKPIを仮想株価として利用できるので、市場株価と切り離して考えられている、というところですよね。市場株価は予測不能なので、自分の努力でどこまで変えられるか分かりません。
しかし、擬似SOは、企業の利益に貢献することで分かりやすく報酬が上がる、ということが言えると思います。
仙石:ありがとうございます。おっしゃる通りだと私も考えております。
また、最近では上記のように利益に連動する疑似SOだけではなく、「仮想株式1個=1万円」など予め仮想株価を固定した仮想株式を、ポイントのように会社への功績等に応じて付与し、そのポイントと交換に現金を貰う条件を「企業への3年間の在籍」などにする「固定型プラン」の導入も増えてきています。
その企業を辞めてしまうとポイントも失効してしまうので、「静かな退職」などの離職防止にも繋がると考えています。
瀧野さま:私もIPOを目指しているスタートアップ企業を支援していますが、離職率が高いです。
従来のSOはIPOが見えてこないと従業員のモチベーションアップに期待ができないのですが、擬似SOの場合はその都度の目標達成で報酬を貰えますよね。
なので継続的なモチベーションアップに期待ができますよね。
仙石:ありがとうございます。SaaSツールである「ストックオプションクラウド」により、仮想株式の個数や報酬金額、行使条件について、従業員はいつでもスマホやPCから確認できるようになっています。その点もモチベーションアップに繋がると思っています。また、「ストックオプションクラウド」は疑似SOだけではなく従来のSOも管理が可能になっています。
最後に、擬似SOについて今後に期待できることをお教えいただけますか?
瀧野さま:はい。擬似SOのような報酬制度をうまく活用することで、IPO、並びに経済の活性化に繋がると考えております。
近年、IPOの基準が企業の売上重視から利益重視へと変わり、足元がしっかりしている企業のほうが上場しやすい傾向にあります。
そういった流れにも、擬似SOは合っていると思います。
仙石:ありがとうございます。今回は貴重なご意見を聞くことができました。
また経営者側の視点ですと、制度を導入することにより、より優秀な人材が集まってくる、というメリットも考えられますよね。
この対談を契機に、より多くの方々に知っていただけると幸いです。この度はありがとうございました。
■南青山アドバイザリーグループ提供の擬似ストックオプション「エンゲージメントストック」
業績に連動した仮想株式を見える化する「ストックオプションクラウド」とは?
「エンゲージメントストック」とは、仮想の株式を従業員に付与し、仮想の株価により業績連動型報酬を従業員に現金で支給する制度です。そして、この配分された株式を現在の仮想株価、数年後の株価予想などの項目で可視化するのが「ストックオプションクラウド」です。マイページ上で税金計算なども可能であるため、メリットを認識しやすくなります。
エンゲージメントストックは余剰金を分配するため、企業は給与や賞与制度を変更する必要がありません。一方、社員は事業計画を達成し報酬をもらうことで、自身の働きが会社の成長に繋がり、会社が進みたい方向性に寄与していることを感じられ、経済的・精神的な満足感を得る事ができます。結果的に、営業利益と給与を同時に上げることができ、会社と従業員相互に利益がある関係を構築できます。
エンゲージメントストックは余剰金を分配するため、企業は給与や賞与制度を変更する必要がありません。一方、社員は事業計画を達成し報酬をもらうことで、自身の働きが会社の成長に繋がり、会社が進みたい方向性に寄与していることを感じられ、経済的・精神的な満足感を得る事ができます。結果的に、営業利益と給与を同時に上げることができ、会社と従業員相互に利益がある関係を構築できます。
【監査法人Growthについて】
IPOを目指す次世代の成長企業に高品質な監査を提供することを目的に設立された監査法人です。今後、IPOを目指す企業がますます増加することが予想されます。監査法人GrowthはIPOに精通した経験豊富な専門家が集結し、監査品質を確保するための組織体制を構築するとともに、IPOに関する知見と深いビジネス理解を基盤にサービスを提供しています。
法人名:監査法人Growth
設立日:2023年8月1日
所在地:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-15 アーバンビルディングサカス8 A棟3階
代表者:包括代表パートナー 瀧野 恭司
URL :https://www.growth-audit.jp/
【南青山アドバイザリーグループとは】
M&AやIPO支援などを行う南青山FAS株式会社と、税務顧問を行う南青山税理士法人で構成され、「専門性」「誠実性」「迅速性」を経営理念としています。
南青山アドバイザリーグループの特徴は、以下4つです。
①強力なネットワーク
南青山アドバイザリ―グループでは、これまで築きあげてきた豊富な実績と人脈、大手証券会社や金融機関とのアライアンス、顧問先等による強力なネットワークを有しており、そのネットワークで、お客様にとってよりシナジー効果の高い企業とのマッチングを行うことが可能です。また、多くの企業のオーナーとのリレーションを築きあげており、オーナーに直接案件を提案できる環境が整っております
②ベンチャー企業に特に強み
事業承継問題に悩むお客様はもちろんのこと、南青山アドバイザリ―グループでは、特にベンチャー企業のお客様に対して、様々な案件で課題解決に取り組んだ実績があります。そのためベンチャー企業の成長戦略的コンサルティングにおいて特に強みを有しております。
③経験豊富なアドバイザー
南青山アドバイザリ―グループでは経験豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。事前準備から実行後のフォローまで迅速かつ誠実にワンストップでサポートいたします。
④多数の専門家が在籍
南青山アドバイザリ―グループでは、公認会計士や税理士等多数の専門家が在籍しており、高度な専門性を要する案件も専門のアドバイザーが共にサポートいたします。
【会社概要】
商号: 南青山アドバイザリーグループ(南青山FAS株式会社/南青山税理士法人/南青山リーダーズ株式会社)
代表者 : 仙石 実
所在地 : 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル30F
事業内容: 会計税務支援業務、IPO・M&A支援業務、財務税務デューデリジェンス業務バリュエーション業務、事業承継支援業務
設立日 : 2013年3月
URL : http://minami-aoyama.jp/
IPOを目指す次世代の成長企業に高品質な監査を提供することを目的に設立された監査法人です。今後、IPOを目指す企業がますます増加することが予想されます。監査法人GrowthはIPOに精通した経験豊富な専門家が集結し、監査品質を確保するための組織体制を構築するとともに、IPOに関する知見と深いビジネス理解を基盤にサービスを提供しています。
法人名:監査法人Growth
設立日:2023年8月1日
所在地:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-15 アーバンビルディングサカス8 A棟3階
代表者:包括代表パートナー 瀧野 恭司
URL :https://www.growth-audit.jp/
【南青山アドバイザリーグループとは】
M&AやIPO支援などを行う南青山FAS株式会社と、税務顧問を行う南青山税理士法人で構成され、「専門性」「誠実性」「迅速性」を経営理念としています。
南青山アドバイザリーグループの特徴は、以下4つです。
①強力なネットワーク
南青山アドバイザリ―グループでは、これまで築きあげてきた豊富な実績と人脈、大手証券会社や金融機関とのアライアンス、顧問先等による強力なネットワークを有しており、そのネットワークで、お客様にとってよりシナジー効果の高い企業とのマッチングを行うことが可能です。また、多くの企業のオーナーとのリレーションを築きあげており、オーナーに直接案件を提案できる環境が整っております
②ベンチャー企業に特に強み
事業承継問題に悩むお客様はもちろんのこと、南青山アドバイザリ―グループでは、特にベンチャー企業のお客様に対して、様々な案件で課題解決に取り組んだ実績があります。そのためベンチャー企業の成長戦略的コンサルティングにおいて特に強みを有しております。
③経験豊富なアドバイザー
南青山アドバイザリ―グループでは経験豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。事前準備から実行後のフォローまで迅速かつ誠実にワンストップでサポートいたします。
④多数の専門家が在籍
南青山アドバイザリ―グループでは、公認会計士や税理士等多数の専門家が在籍しており、高度な専門性を要する案件も専門のアドバイザーが共にサポートいたします。
【会社概要】
商号: 南青山アドバイザリーグループ(南青山FAS株式会社/南青山税理士法人/南青山リーダーズ株式会社)
代表者 : 仙石 実
所在地 : 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル30F
事業内容: 会計税務支援業務、IPO・M&A支援業務、財務税務デューデリジェンス業務バリュエーション業務、事業承継支援業務
設立日 : 2013年3月
URL : http://minami-aoyama.jp/